やる気が出ない。何をしても手につかず、「このままじゃダメだ」とますます落ち込んでしまう…。そんなストレスフルな状態に悩まされている人に届けたいのが、『瞬間ストレスリセット――科学的に「脳がラクになる」75の方法』(ジェニファー・L・タイツ著、久山葉子訳)だ。本書は認知行動療法やマインドフルネスなど複数の心理技法を土台に、自分に合ったストレス対処法に出合えるよう構成されている。本書について、「変化のきっかけになるツール」と深く共感するのが、精神科医で禅僧の川野泰周氏だ。ストレスと向き合う臨床の現場で、多様なアプローチを実践してきた川野氏に、本書の内容をふまえて「やる気が出ないとき、どうすればいいのか?」をテーマに話を聞いた。

【精神科医が教える】「もう限界…」やる気ゼロになったときに、気力を取り戻す「簡単な方法」とは?Photo: Adobe Stock

やる気が出ないは、「心の疲労サイン」

――やらなくてはいけないことがあっても、どうしてもやる気が出ないときがあります。そんなときはどうしたらいいのでしょうか? 

川野泰周(以下、川野):まずは、「自分がクタクタになっていること」に気づくことです。そして、自分に優しさを与えてあげる「セルフコンパッション」の実践が大切です。

忙しすぎる方は、「休息の時間を意識的に取り入れること」を心がけてみてください。

――たしかに、忙しすぎて休むことを忘れてしまっている人もいそうです。休日も気が休まらない、もしくはある程度休んでも、やる気が戻ってこないときはどうしたらいいでしょうか?

川野:そういうケースも多いと思います。とくに長期休み明けに5月病のようにだるくなってしまったり、暑い季節に自律神経の調子がおかしくなったりして、長引く無気力感に悩んでいる方々はよく見られますね。
 
そのときに大事なのが、「モメンタム」です。私はこれを心理学的に、「心の勢い」という意味で用いています。