テロと関税、それでもインド株は買われ続ける? 4月のインド株型投資信託は二極化が鮮明に【投資信託の最前線】

トランプ関税で世界のほとんどの株式市場が値を下げた中、インド株は4月も堅調な動きをキープした。トランプ関税をめぐる不透明感や4月に起きたテロ攻撃など不安要素も残るが、この株高の背景にあるのは? 日本で買えるインド株型投資信託の最新動向を分析する。

米関税やテロ攻撃でインド株にも緊張感高まったものの
利下げや企業の好決算で小型株から大型株まで株価は上昇

 トランプ米大統領が4月2日に公表した関税政策をめぐる不透明感などから、2025年4月の株式市場は大きく変動。しかし、終わってみれば、月初に売られて、月末にかけて値を戻す展開になりました。なお、5月に入ってからは、米英が新たな貿易協定の締結で合意したのを皮切りに、米中でも追加関税の大幅な引き下げで合意。このことから、株式市場に安心感が広がり、多くの株式指数が4月2日の水準を上回る状況となっています。

 こうした中、日本の個人投資家から人気の高いインドの株式市場は、3月に続き4月も堅調な動きとなりました。インド株の主要インデックスであるNifty50指数(大型株)は4月の1カ月で3.5%の上昇、Nifty Midcap150指数(中型株)は3.9%の上昇、Nifty Smallcap250指数(小型株)は1.7%の上昇となっています。

 もちろん、米関税をめぐる不透明感や、4月22日にインド北部のパハルガムで起きたテロ攻撃により地政学的な緊張が高まったことなどから、セクター間の強弱は見られました。それでも、こうして株価が上昇した背景には、インドの経済成長に対する根強い期待があると考えられます。加えて、4月に公表されたインド企業の3月期決算が総じて好調だったことや、インド準備銀行(RBI)が利下げを決定し、政策金利を緩和的なスタンスに転換したとの見方が広がったことも、インド株の上昇要因となりました。

古くからあるインド株型は利益確定売りが続いているが
インデックス型やテクノロジーなど新テーマ型には押し目買いが!

  一方、2025年に入って、日本のインド株型投資信託の資金動向は流入と解約が拮抗しています。4月はマイナス75億円と小幅ながら3カ月連続の資金流出となりました(モーニングスター・ダイレクトのデータによる)。2024年8月の株式相場の乱高下あたりから、古くから設定されているインド株型投資信託を中心に利益確定売りが続いています

 ただ、資金流出入をみると、4月の株式相場が乱高下する場面でもインデックス型のインド株型投資信託を中心に押し目買いが入っていたようです。また、テーマ型に関しても、インフラ株や消費株といった比較的古くからあるテーマの利益確定売りが続く一方で、イノベーションやテクノロジーをテーマとしたインド株ファンドには資金流入が見られています。

 インドの成長を捉えるという投資家のニーズに対して、様々な選択肢がインド株投資を後押ししているものと言えそうです。

藤原延介さん藤原延介(ふじわら・のぶゆき)●1998年三菱信託銀行(現三菱UFJ信託銀行)入社後、2001年ロイター・ジャパン(リッパー・ジャパン)、2007年ドイチェ・アセット・マネジメント、2019年アムンディ・ジャパンを経て、2021年にBNPパリバ・アセットマネジメントに入社。投信営業本部マーケティンググループ 部長。ドイチェAMでは資産運用研究所長を務めるなど、約25年に渡り資産運用や投資信託に関するリサーチや投資啓蒙に従事。慶応大学経済学部卒。
◆投資信託の最前線
20年超にわたって投資信託動向を分析してきた藤原延介氏が、投資信託の最新動向やニュースを取り上げて、わかりやすく解説! 2024年から大幅拡大したNISAでは、投資信託での運用が不可欠に。でも「どうやって選べばいいの?」「組み合わせ方法は?」などわからない人も多いのでは? このコラムで投資信託の売れ筋やトレンドの変化をチェックすることで、投資信託の選び方や資産運用法などが見えてきます。
ダイヤモンド・ザイ NISA投信グランプリとは
ダイヤモンド・ザイでは1年に1回、「NISAで買える本当にイイ投資信託」を部門別にランキングし、上位のファンドを表彰している。人気や知名度ではなく、データを最重視した完全実力主義のアワードだ。「1.どれだけ上がったか(上昇率)、2.どんな時も下がらない(下がりにくさ)、3.ずっと優等生(成績の安定度)」の3つの独自基準で評価を行う。また、非常に人気があり多くのお金を集めているにもかかわらず成績が振るわない投資信託も、「もっとがんばりま賞」として発表している。

<ダイヤモンド・ザイNISA投信グランプリ2025>
[2025年]受賞投資信託30本一覧

日本株総合部門
日本中小型株部門
米国株部門
世界株部門
新興国株部門
リート部門
フレッシャー賞
もっとがんばりま賞
(番外編)インデックス型「最安ランキング」
▼当グランプリの「選定基準」はこちら⇒https://diamond.jp/articles/-/363017